【創作の動機】平野 啓一郎はなぜ書くのか?(2000年刊別冊トップランナーを読んで)



最近話題の本 私とは何か―「個人」から「分人」へ を読んで以来,著者の平野 啓一郎さんに興味を持っています。

彼の創作の原点を知りたくて,デビュー1年後に出演したNHK番組「トップランナー」が書籍化された本,

平野啓一郎―新世紀文学の旗手 別冊トップランナー」も読んでみました。


1999年度,当時24歳の平野さんの顔写真も興味深かったです。

今より大分尖った(ツッパった)感じで,左耳にピアスをしていることが話題になっている,

というのが印象的でした。





以下,読書メモです。

■「書くこと」と「幸福」の関係は?

益子 小説を書くということは楽しみの一つになっているんですか?

平野 ぼくはあんまり楽しいっいう感覚はないです。書いてて幸福感っていうのもあんまりないですね。

 ぼくの場合は内的な衝動みたいなものがあって,それにせっつかれて書いているみたいなところがありますね,ですから幸福感とかっていうのとはちょっと違うと思います。それじゃ苦痛でしょうがないのかと言われれば,それでもまた書いているわけですから,単なる苦役っていうわけでもないんでしょうけれども。

大江 その内的衝動っていうのは,切羽詰まった思いというのがあるんですか?

平野 なんか,書かなきゃいけないっていう気になるんですね,僕の場合は。  (P73)







■普遍と具体

益子 ご自分の経験とか,体験なんかを作品にしたりとかってことはされないんですか?

平野 直接書くっていうのはたぶんないと思いますね。基本的には作品と作者はまったく別のものだと思っているんですね。ぼくの個人的な問題というのは読者の人たちにとってはどうでもいいことでしょうし,ぼくも人の本を読んでいるときに,書いた人の個人的な問題っていうのはどうでもいいことなんですね。ですから,ぼくが何か考えたり体験したりしたことはある一定のレベルまで象徴化されて普遍的なものにまで高められていれば表現として意味があるかもしれないですけれども。基本的には個人的な問題っていうのはどうでもいいと思っていますから,そういうものが作品の中に入り込むっていうことに関しては常に警戒はしています。結局小説の主人公が作者の分身でしかなければ,百編の小説があったら,百編とも同じ主人公になっちゃうわけですよね。ぼく自身としては人間が一生に体験することなんてたかが知れていますから,そういう限界から離れたところで創作をしたいとは思っていますね。

大江 じゃあ平野さんが目指す方向っていうのは?

平野 日常性を越えたところにある何ものか。それは本質的には言語表現は不可能なものなんですけれども,読書っていうことを通じてそれに触れることは可能なのかっていうことが一応僕の試みなんです。そういうものを,小説を通じて実験しているっていうことだと思いますけどね,ぼくの創作っていうのは。 (P75)







■作品の影響力

読む前と読んだ後とで,自分が何も変わらないような本は,読む意味がないと思うんですよ。少なくとも僕は読者に対して,何らかの影響を与えるようなものを書きたいと思っているし,僕自身が存在したことによって,ほんの少しでも世界が変わってほしいとも思っています。そういう影響を与える人物でありたいと思っているんです。毒にも薬にもならない本が多すぎると,僕は思うんですよね。  (P80)






面白かったのは,当時の”旬”な話題についての意見です。

■「インターネット・テキストの弊害」について

特に子供には,ポルノ画像が簡単に入手できるなんてことよりもずっと問題だと思いますよ。判断力も思考力もよく育っていない彼らが玉石混淆のテキストを全て同列で目にしてしまうことの弊害は大きいと思いますね。 (P82)


当時の”旬”とはいえ,これは普遍的問題とも言えそうです。

同種のことを,19世紀の哲学者のショーペンハウエルも「読書について」で,

最も大切なことは,読まないことである」

(流行やベストセラーなど,安直に売れることを狙って刊行される大量な本について)


と警告していることと,本質的に同じことだからです。




最近,小説(というか,小説家の創作についてかな)にも興味が向かい始めています。










【今回,読んだ本】



平野啓一郎―新世紀文学の旗手 別冊トップランナー





【平野啓一郎さんに興味をもつきっかけとなった本(今だ消化しきれていません)】



私とは何か――「個人」から「分人」へ

彼の小説「空白を満たしなさい」「ドーン」あたりから登場してきた概念「分人」(平野啓一郎さんの造語)について,明治に輸入された個人主義の起源から説明されています(小説ではありません)。非常に良い本でした。思わず,20,000字も書き起こしてしまいました。

時を置いて,しっかり向き合い,気分が乗ればブログにも書きたいと思います。(まだ自分の中で発酵中なのか,「書きたい」が起きてこないんです)












【関連記事】

 ・【作家志望者必読!】電子出版全盛になっても,名編集者が必要だということが良くわかる名作漫画「バクマン」

 ・【一発屋で終わらない!】長い期間、一流の創作を続ける才能と若さの秘密~荒木飛呂彦・村上春樹の共通点~

 ・創造性・天才性は、「精霊」による(村上春樹と宮崎駿、そしてエリザベス・ギルバートはチャネラーだった?!)

 ・村上春樹の習慣術(と観察法) ~とにかく自分をペースに乗せてしまう~

 ・(本)五木寛之著 「親鸞 激動篇」2 「念仏」は「ロック」だった








関連記事

テーマ : 【無理な努力なし】に、好きなことで幸せになる
ジャンル : 就職・お仕事

コメントの投稿

非公開コメント

れおん
東京在住。2011年初旬に安定した仕事を辞め、いくつかのお金の流れを創りつつ「真の幸せとは何か?」「自由とは?」を探求中。かなりの手応えを掴み、探求をほぼ終えつつあります。縁のあった少数の人に「好きな事をビジネスにして楽しく生きる」ためのコンサルティングをしています。興味のある方は「メールフォーム」から気軽にメッセージをお送りください。

れおん


全記事数は?
全タイトルを表示
「親指シフト入力」を一気にマスターできるポメラ
プリンターを安く使う裏技

タダプリント インク4色セット ビッグタンク(66本相当)を使ってから、高価なインクコストを気にせずプリントできるようになりました。ビッグタンクなので面倒なインク交換もまず不要。タダプリントが使えるブラザー製プリンターに変えて大正解でした。
最新記事
部屋が広くなりました♪
カテゴリ
初めて満足できたシュレッダー
PCにつけるだけで,オーディオになりました
リンク
全クリエイターの教科書!
キュートで軽く,中身はライカ!

ミラーレス一眼が流行っていますが、 ルミックスLX7はそれに迫る性能なのに圧倒的な軽さと大口径ライカレンズを実現。取材や日常使いカメラとして僕は断然こちら。友人の女性編集者もこの小粋な高性能カメラのオーナーです。
シャンプー×リンス×洗顔フォーム=石鹸1個で月89円
最新コメント
最新トラックバック
カウンター
スポンサード・リンク
リンクシェア アフィリエイト紹介プログラム
RSSリンクの表示
QRコード
QR
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム